研究会（研究発表会）

2002年に新潟県のコシヒカリ同質遺伝子系統現地試作ほから分離されたイネいもち病菌レース

石川浩司・堀　武志・佐々木行雄（新潟農総研作物研）

県内43ヶ所の現地試作ほにおいて，コシヒカリ同質遺伝子系統「コシヒカリ新潟BL1号〜4号」を混植栽培し，いもち病菌レースの分布を調査した。この4系統のうちBL1号(Pia)とBL2号(Pii)の混植比率は1:2とした。試作ほ場19ヶ所から分離した272菌株を検定したところ，BL3号（Pita-2）とBL4号（Piz）を侵すレースは1菌株（レース343.1）分離されたのみで，これ以外は全てBL1号，BL2号を侵す菌であった。レース分離比率は地点によって異なったが，003.0又は007.0が優先レースとなり，特に007.0が優先する地点が多かった。県内の一般ほ場から分離されたレースは001.0（54.2%），003.0（33.2%），007.0（7.7%）であったが，試作ほでは007.0の分離比率が高く，試作ほの混植比率では007.0が感染可能な系統が003.0の3倍あるためと考えられた。同様に035.1と037.1の分離比率も003.0に比べ高まった。以上より，同質遺伝子系統の混植栽培におけるレースの分布には，増殖の場である親和性系統の量の影響が大きいと考えられた。