研究会(研究発表会)

第55回(新潟)

講演要旨

アカヒゲホソミドリカスミカメの産卵能力と寿命の世代による差異

樋口博也・高橋明彦・新谷喜紀(北陸研究セ)

アカヒゲホソミドリカスミカメは北陸地域では5世代を繰り返し,5月に越冬世代,6月に第1世代,7月に第2世代,8月に第3世代,9月に第4世代の成虫が現れる。第3世代までの成虫について,小麦苗を餌とし,25°C,16L–8D条件下で飼育し,産卵能力,生存日数,体サイズを調査した。第3世代の雌は,越冬・第1・第2世代の雌に比べ,産卵前期間が長く,生涯総産卵数が少なく,生存日数が短く,前翅長も短かった。累代飼育虫を,16L–8Dの日長で,21°C,26°C,31°Cの温度で卵から飼育し,羽化した雌の前翅長を測定した。21°C,26°Cで飼育した雌の平均前翅長はそれぞれ4.14mm,4.16mmであったのに対し,31°Cで飼育した場合には3.88mmと有意に短くなった。したがって,飼育温度が高いと体サイズが小さくなると考えられた。以上より,8月の第3世代の雌において,体サイズが小さくなり,産卵能力が低く,寿命が短くなったのは,野外での幼虫期間の高温が大きく影響していると考えられる。

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2009.1.8更新