研究会(研究発表会)

第55回(新潟)

講演要旨

温湯処理がイネ育苗期における細菌性病害の保菌および発病抑制に及ぼす影響

梅沢順子・向畠博行(富山農技セ農試)

温湯処理による,もみ枯細菌病菌(以下Gl),褐条病菌(以下Ave),苗立枯細菌病菌(以下Pl)の保菌籾における菌量推移と防除効果を調査した。Gl,Ave,Pl各菌は菌液(108cfu/ml) に直接加温すると60°C3分で全て死滅した。しかし,保菌籾に直接加温を行った場合,加温直後の保菌籾から60°CではAve保菌籾で15分,Pl保菌籾で10分,62°CではAve及びPl保菌籾とも5分まで菌が検出された。Glは各処理区で検出されなかった。発病調査ではGlは60及び62°Cの5–10分処理で発病を抑えたが加温時間を長くすると発病が増える場合があった。Aveは60°C処理で効果が安定しなかったが,62°C10分処理以上で防除価88–99となった。Plも62°C10分以上の処理で防除価94–100となった。しかし,特にAveでは防除効果が認められても浸種液及び催芽液から多くの菌が検出され保菌を皆無にする事は出来なかった。このことは発病に至る可能性を否定できないことを示唆した。また,使用した籾の発芽率は62°C20分以上の処理でかなり低下した。以上から, 温湯処理は保菌程度を低下させる効果があり,育苗期間中に急激な増菌がなければ発病抑制に有効と考えられた。

第55回(新潟)講演要旨タイトルに戻る

Copyright © 2007 The Association for Plant Protection of Hokuriku. All Rights Reserved.
2009.1.8更新