研究会(研究発表会)

第55回(新潟)

講演要旨

Alternaria spp.胞子飛散のナシ黒斑病発生予察への利用

山口吉博1・佐藤恵美2・権平 正2,3・中野 潔2・棚橋 恵11新潟農総研園芸研・2中越防除所・3新潟農総研)

1997〜2002年に日本ナシ園(品種“二十世紀”)におけるAlternaria spp.胞子飛散(以下、胞子飛散)及びナシ黒斑病の発生状況を調査した。聖籠町(無防除園)の静置式トラップによる胞子飛散消長は6月上〜中旬及び8月下旬〜9月中旬頃に飛散ピークを持つ二峰型を示した。生育初期において幼果発病は胞子飛散ピーク時期〜15日後頃に,葉発病はピーク時期の15〜25日後頃に急増し,胞子飛散の増加期が早く飛散量が多いと発病が多くなる傾向を示した。平均気温との関係から胞子飛散は平均気温が20°Cに到達する時期に急増し,20〜25°C前後に飛散量が多くなった。また,前年8〜9月期と本年4〜6月期の胞子飛散量に有意な正の相関関係が認められた。一方,三条市(慣行防除園)の胞子飛散消長は飛散ピークがやや遅れるが聖籠町に類似しており,胞子飛散量と初期発病にも同様な関係が認められた。以上から,胞子飛散は生育初期におけるナシ黒斑病の発生予察に利用できることを確認した。飛散ピーク時期は気温,飛散量は前年の飛散量から予測可能であることが示唆された。

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2009.1.8更新