研究会(研究発表会)

第57回(石川)

講演要旨

富山県で発生したTulip virus X(TVX)について

森井 環・多賀由美子・守川俊幸(富山農技セ野菜花き試)

2002年,県内の促成栽培チューリップにおいて(輸入球根,‘Jan Reus’,‘Pink Diamond’)葉に条線を生じて萎縮する病害が発生した。罹病株からは数種検定植物上にひも状ウイルスが分離され(JR,PD株),汁液接種により原病徴が再現された。本ウイルスの耐熱性は70〜75℃(10分),耐保存性は90日以上(20℃)と高く,Potexvirus属に共通のプライマー(van der Vlugtら,2002)を用いたRT-PCR反応により,特異的な増幅断片が得られたことから,Potexvirus属の1種と推定された。また,両分離株の宿主範囲はTulip virus X:TVXの記載(Mowat,1982;藤原ら,1994;宮川ら,1997)と類似した。次に抗血清を作製し,ゲル内二重拡散法を行ったところ,TVXの新潟株(宮川ら,1997)と良く反応し,JR,PD株の沈降帯と融合した。さらに,JR株のCP領域の塩基配列は,既報のTVXと99.7%の相同性が認められたことから,本ウイルスをTVXと同定した。なお,TBIA法を用いてTVXの発生状況を調査したところ,露地栽培においても幾つかの品種で発生が確認された。

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2008.2.13更新