研究会(研究発表会)

第57回(石川)

講演要旨

Colletotrichum acutatum Simmonds ex Simmondsによるホトトギス(Tricyrtis hirta)炭疽病(新称)について

高野喜八郎(富山花総セ)

2003年夏以降の時期に富山県でホトトギスに葉先や葉縁が褐変する病害が発生した。最初は黄色帯に囲まれた円形褐色病斑であるが,葉先の方へ拡大する。古い病斑では破れたり穴になったりするが,落葉することはない。病斑部からはColletotrichum属菌が高率に分離され,分離菌の培養菌叢片を健全葉に付傷接種して病徴が再現され,原菌を再分離した。分生子層ははじめ表皮下に埋生してレンズ状,盤状,のちに表皮を破って広く開口して分生子を裸出する,径80-120µm。分生子は無色単胞,紡錘形〜楕円形,大きさ12.5-18×3.8-5.5µm。付着器は淡褐色,倒卵形〜楕円形,全縁で大きさ5.8-10×4.3-7µm。分離菌株はPDA培地上で5-35°Cで生育し,27°C付近が最適。菌叢表面に鮭肉色の分生子粘塊を生じ,菌叢裏面は鮮紅色を呈した。またC. gloeosporioides(シンゴニウム菌)との比較においても生育速度は遙かに遅く,ベノミル(1,250ppm)添加PDA培地上の本菌の生育度は27.5であった。以上の諸特性から佐藤(1997)他に照らして本菌をC. acutatumと同定,ホトトギス炭疽病の病名を提案したい。

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2008.2.14更新