研究会(研究発表会)

第57回(石川)

講演要旨

チューリップ皮腐病の発生生態の解明

多賀由美子・守川俊幸・森井 環(富山農技セ野菜花き試)

チューリップ皮腐病の伝染経路や発病時期について明らかにした。チューリップから分離した皮腐病菌を健全なイネ‘ハナエチゼン’に接種したところ,褐色紋枯病の症状が確認され(多賀ら,2003),発病株から回収した稲ワラを健全チューリップ球根植付時に土壌に混和したところ,翌年収穫した球根には本病の病徴が認められた。また,健全土に植え付けた本病発病球根の次年度への伝染はみられなかった。被害球根患部からの本菌分離率は収穫1ヵ月後から低下し,4ヵ月後には分離されなかったことから,本菌は夏期の貯蔵期間中における球根での生存率が低く,そのため球根伝染しにくいと考えられた。以上のことから,本病は圃場に残存した菌が伝染源となり発生する可能性が高いと推察された。次に,10月の植付時に皮腐病菌を接種した球根を1ヵ月おきに掘り上げ,発病時期を調査したところ,植付6ヵ月後(4月)までは発病が見られず菌も分離されなかったが,植付7ヵ月後(5月)には病徴が確認され,種球根の消耗りん片や新球根のりん片および根から本菌が分離された。よって,本病は球根肥大期に病原菌が感染し発病すると考えられた。

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2008.2.13更新