研究会(研究発表会)

第57回(石川)

講演要旨

イネ紋枯病に対する育苗箱施薬剤の防除効果

向畠博行・梅沢順子(富山農技セ農試)

本県ではイネ紋枯病は近年,一部地域で増加傾向にあることから,省力・安定防除を目的に,育苗箱施薬剤の有効性について3か年にわたり農試場内で検討した。早生品種を供試し,田植当日に薬剤を苗箱当たり50g散布した。6月下旬にフスマ・籾殻培養菌を生重で1区25g/5m2を,周囲を波板で仕切ったイネ株間に散布し,成熟期に羽柴式調査法で発病評価を行った。接種無処理区の被害度が73の甚発生下で,供試したチフルザミド剤とオリサストロビン剤は本病菌の水平進展および上位進展を抑制し,各々被害度が24,15と発病を低下させた。被害度が81と甚発生下であった2003年に,収量性に及ぼす影響を調査した結果,接種無処理区を指数値100として,両薬剤区の平均で収量(粒厚1.90mm以上)が139,屑米重率が48であった。さらに,2004年には,上記にフラメトピル剤を加えた3種の育苗箱施薬剤とバリダマイシン等3種の生育期散布剤(出穂2日前に散布)との防除効果を比較した結果,育苗箱施薬剤の防除価がやや優っていた。以上から,常発地帯等における育苗箱施薬剤の施用は有効と考えられる。

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2008.2.14更新