研究会（研究発表会）

センノウから分離されたCucumber mosaic virus（CMV）について

堀井香織¹・神戸敏成²・守川俊幸¹（¹富山農技セ野菜花き試，²富山県中央植物園）

センノウ（Lychnis senno Siebold et Zucc.）は600年以上前に中国から来たと考えられているナデシコ科の観賞植物であり，3倍体であるため栄養繁殖により増殖されている。富山県中央植物園が保有しているセンノウに不明瞭なモザイク症状が発生して問題となっている。そこで，罹病株からウイルスを分離したところ，径28〜30nmの球状ウイルスが分離された。本ウイルスはCMV抗体と反応したことから，分離株の外被タンパク質遺伝子領域の塩基配列を調査したところ，CMV-Oと97.4%の相同性が認められ，subgroupはIAに属した。以上から，本ウイルスをCMVと同定した。本ウイルスを種子繁殖性のL. ×haageanaに接種したところ，全身感染してモザイク症状を呈した。10科28種に汁液接種した結果，4科10種で全身感染，6科9種で局部感染が認められたが，キュウリに感染しなかった。本病を「モザイク病」と呼称したい。