研究会(研究発表会)

第61回(石川)

講演要旨

タケ・ササ類のてんぐ巣症状の診断

田中栄爾(石川県立大学)

タケ・ササ類に「てんぐ巣症状」を起こす病原糸状菌は国内に3種存在する。そして,それらの病徴や,自然現象による「てんぐ巣様症状」は混同されることがある。そこで,病徴診断のため,それぞれの「てんぐ巣症状」の特徴を明らかにした。子嚢菌類バッカクキン科のAciculosporium takeによる病徴では,著しく小さい葉をつけた細いシュートが分節しながら伸長し,先端に子座が形成された後,脇芽が伸長することを繰り返す。病徴部位においても宿主と同様のパターンで節から枝が出ることに注目されたい。同じくバッカクキン科のHeteroepichloë sasaeによるササ類の病徴では,シュートの伸長は起こらないものの,A. takeによる病徴と同様に頂芽優勢の法則に従って分岐を繰り返す。また,葉上に白化した菌体組織の残渣が現れることが多い。担子菌類クロボキン科のUstilago shiraianaによる病徴では,上記2種による病徴と異なり,シュートの脇芽から伸長する。また,黒穂胞子形成が明らかな特徴となる。さらに,老齢稈や花芽形成による自然現象での「てんぐ巣様症状」の例を挙げる。

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2009.12.29更新