研究会(研究発表会)

第62回(福井)

講演要旨

合成ピレスロイド剤によるフタスジヒメハムシ防除効果低下事例の原因究明

宮下奈緒・藪哲男(石川農研)

石川県金沢市のダイズ圃場に発生したフタスジヒメハムシを防除するため合成ピレスロイド系の薬剤(以下合ピレ剤)を散布したところ、効果が不足する事例が認められた。薬剤の感受性低下が疑われたことから、原因の究明を試みた。本種の薬剤感受性検定は、虫体浸漬法と食餌浸漬法で行った。虫体浸漬法において3日後の死虫率は合ピレ剤では96.7%であったのに対し、ネオニコチノイド系の薬剤(以下ネオニコ剤)では100%であった。食餌浸漬法において3日後の死虫率は合ピレ剤では82.3%、ネオニコ剤では100%であった。よって合ピレ剤に対する本種の感受性低下は認められなかった。次に圃場での使用場面に近い条件を想定して、薬剤散布1日後と3日後にダイズ葉を採集して成虫を接種し、1日ごとに生死を調査した。その結果、接種3日後の死虫率はネオニコ剤ではどちらも100%と高かったのに対し、合ピレ剤はどちらも0%と低かった。以上のことから、合ピレ剤は直接虫体に付着した場合や散布直後の葉を摂食した場合に防除効果はあるものの、その後急速に効果が低下すると考えられた。

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2011.1.21更新