研究会(研究発表会)

第63回(新潟)

講演要旨

2010年の福井県におけるハスモンヨトウの発生状況および合成性フェロモン剤の利用の検討

萩原駿介1・高岡誠一1・水澤靖弥1・早川嘉孝1・北島義訓2・竹内将史31福井農試・2奥越農林総合事務所・3福井農林総合事務所)

近年,合成性フェロモン剤を利用した発生調査技術や防除技術が開発され,化学合成農薬に代わる防除技術として期待されている。そこで2010年にハスモンヨトウを対象にフェロモン剤による発生消長調査および防除効果について検討した。誘殺数は8月中旬までは平年並みの発生であったが,8月下旬以降に急激に誘殺数が増加し,発生最盛期(10月3半旬)の誘殺数は平年の4.8倍と多くなった。JPP-NET提供の下層ジェット気流グラフでは9月7日,11日,12日,13日,20日,22日,10月4日に下層ジェット気流が西南暖地から北陸方面にかけて発達したことと,8月,9月の気温が平年より2.0〜2.6℃高かったことが秋季の多発生につながったと考えられた。施設ホウレンソウ栽培地帯に大量捕獲用フェロモン剤を使用したトラップを施設の周囲に設置したところ,栽培期間中の節減対象農薬散布回数は同圃場における慣行の4.4回から2.4回に減少した。また,30aのキャベツ栽培圃場において交信攪乱用フェロモン剤を100本/10a設置したところ,節減対象農薬散布回数は同圃場における慣行の9回から4回に減少した。以上のことから多発年においても合成フェロモン剤利用による減農薬栽培が可能と考えられた。

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2011.1.21更新