研究会(研究発表会)

第64回(富山)

講演要旨

上越市で採集したマメシンクイガの各種温度における発育期間

竹内博昭・高橋明彦(農研機構・北陸研究セ)

ダイズ子実害虫のマメシンクイガは,北陸など比較的冷涼な地域では年1回発生する。農薬のみに依存しない本種の防除法を開発するには,まず,室内飼育法の確立が必要である。しかし,飼育計画を立てる際に必要な温度と発育期間との関係について上越採集の本種を対象に調査された例はない。そこで,2011年5月に土中の幼虫を採集し,羽化させた成虫ならびにその次世代について,14L10Dの日長条件で13,17,21,25,28,31℃の各温度における卵,莢中の幼虫,莢脱出後の幼虫,蛹の期間および産卵前期間を調査した。発育期間は,莢中の幼虫,蛹では雌雄の違いはなかったが,莢脱出後の幼虫は,雄のほうが雌より発育期間が短い温度が多かった。卵,莢中の幼虫(雌),蛹(雌) の発育零点は順に9.9,6.0,8.8℃であり有効積算温度は95,303,208日度であった。これらは既報の青森県で推定された値とほぼ同じであった。莢脱出後の幼虫の蛹化までの期間は,13,31℃の場合より21〜28℃の場合が短く,25℃では11.5日であった。産卵前期間の発育零点は8.4℃,有効積算温度は54日度と推定された。これらから,上越で採集した本種については14L10D,25℃条件での飼育の場合,一世代の平均期間は約53日と考えられた。

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2013.9.20更新