北陸病害虫研究会報

Olpidium菌のチューリップ条斑ウイルス（TuSV）およびチューリップ微斑モザイクウイルス（TMMMV）媒介能と植物寄生性

守川俊幸・堀井香織・望月知史*・大木健広*・津田新哉*・向井　環**

富山県農業技術センター野菜花き試験場
*中央農業総合研究センター
**現在：砺波農業普及センター

Toshiyuki Morikawa, Kaori Horii, Tomofumi Mochizuki*, Takehiro Ohki*, Shinya Tsuda* and Tamaki Mukai**
Vegetable and Ornamental Crops Experiment Station, Toyama Agricultural Research Center, Goromaru, Tonami 939-1327  *National Agricultural Research Center, Hokuriku Research Center, Kannondai, Tukuba 305-8666  **Tonami Extension Center, Saiwai-cho, Tonami 939-1386: Transmissibility with Tulip streak virus and Tulip mild mottle mosaic virus, and host specificity of Olpidium spp.

TuSVおよびTMMMVはOlpidium virulentusによって媒介されるが，菌株間のウイルス媒介能や植物寄生性の差異は十分に明らかになっていない。そこで，O. virulentus25菌株とO. brassicae2菌株を用いて，ウイルス媒介能を調査した結果，O. virulentusの全分離株がTuSVとTMMMVの両ウイルスを媒介することが確認された。一方，O. brassicaeの2菌株は何れもチューリップに寄生せず，媒介試験が成立しなかった。次に，O. virulentus27菌株の8科18種の植物に対する寄生性を調査した結果，O. virulentusの全ての分離株が，マクワウリ，ネギ，オクラ，ササゲ，インゲンなどで良好に増殖したが，レタス，タバコ，トマトなどでは，寄生する株としない株に分かれた。いずれもキャベツでの増殖は僅かか皆無であった。寄主範囲の特徴から明確なグループ分けは困難で，検定する植物の数を増やすほど多様性に富むものと推察された。なお，O. brassicaeの2菌株は供試植物のうちキャベツのみで良好に増殖した。

Key words：Olpidium, TuSV, TMMMV, ウイルス媒介能, 植物寄生性, virus transmissibility, host range, tulip