北陸病害虫研究会報

第56号(P1 – 7)

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富山湾海洋深層水の電解水による水稲種籾消毒の効果と現地実証

向畠博行・関原順子・松本美枝子

富山県農業技術センター

Hiroyuki Mukobata, Junko Sekihara, Mieko Matsumoto
Takaoka Agricultural Experimental Research Center, Yosioka, Toyama 939-8153: Laboratory and field trials of rice seed disinfection with electrolyzed water generated from deep sea water of Toyama Bay

水稲の主要な種子伝染性病害に対し,富山湾海洋深層水由来の電解水を用いた種子消毒法を検討した。苗立枯細菌病ともみ枯細菌病の2種病害に対してはアルカリ性電解水が,褐条病に対しては酸性電解水が顕著な防除効果を示した。これらの防除効果は,浸漬温度を高めることで,より短時間の処理で得られた。そこで,酸性電解水を50°Cで1時間処理した後,アルカリ性電解水を50°Cで1時間処理したところ,苗立枯細菌病,もみ枯細菌病,褐条病だけでなく,ばか苗病,いもち病に対しても防除効果が認められた。また,同一液を3回使用しても,苗立枯細菌病,もみ枯細菌病,褐条病およびばか苗病に対する防除効果は低下しなかった。本種子消毒法を用い,水稲の現地実証試験を3年間行ったところ,育苗期の種子伝染性病害の発生は認められなかった。

Key words:水稲種子消毒, 海洋深層水電解水, rice seed disinfection, deep sea water of electrolyzed water

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2009.2.10更新