北陸病害虫研究会報
第57号(P1 – 9)
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温湯浸漬と催芽時食酢添加処理を組み合わせたイネ種子伝染性病害の防除
関原順子・向畠博行*
高岡農林振興センター
*富山県農林水産総合技術センター農業研究所
Junko Sekihara and Hiroyuki Mukobata*
Takaoka Agriculture and Forestry Promotion Center, Akasofu 211, Takaoka, Toyama 933-0806 *Agricultural Research Institute, Toyama Prefectural Agriculture, Forestry and Fisheries Research Center, Yosioka 1124-1, Toyama 939-8153: Hot-water seed treatment and vinegar addition to germination solution for the control of some seed-borne diseases
イネ種子伝染性病害に対する温湯浸漬および催芽時における食酢添加処理の防除効果を検討した。褐条病菌や種籾の全細菌数は温湯浸漬で減少するが,種子予措中に増殖して発病した。そこで,催芽時に食酢を添加すると,本病だけでなく,もみ枯細菌病,苗立枯細菌病,ばか苗病の発病も抑制し,これら2処理はイネ種子の発芽に影響せず,食酢の濃度は2.5%が適していた。また,本浸漬液の温度は30°Cより高くなるほど生菌数を減少させた。この2処理の併用は,イネ種子伝染性病害に対して化学薬剤による種子消毒とほぼ同等の高い防除効果を示すことから,本法は広く生産現場での利用が可能と考えられた。
Key words:温湯浸漬, 食酢, 催芽, イネ種子伝染性病害, hot-water treatment, vinegar solution, germination, seed-borne diseases of rice