研究会(研究発表会)
第55回(新潟)
講演要旨
ブドウの減農薬栽培における灰色かび病の防除について
若林平慈(石川農総研砂丘地農試)
近年消費者は、安全でおいしい農産物を求める傾向で,2000年より,電解水や有機JAS資材等を用いた防除効果および薬害について検討してきた。石川県では,金沢市などの生産農家が,エコ農業を行い差別化を図る動きがあり,ブドウの着粒を安定させる基本技術である灰色かび病の防除方法について報告する。(1) 電解水を散布しても,無散布より逆に灰色かび病の発生が多くなり,防除効果は認められなかった(2000〜2001年サニールージュ)。(2) バチルス ズブリチス芽胞1,000倍(有機JAS資材)を開花前に2回散布すると,対照のイプロジオン50%剤1,500倍と比較しほぼ同等で,無散布に比べ効果が高く,薬害は認められなかった(2001年安芸クイーン)。(3) 大豆から抽出した植物油脂(アグリターンアシスト50倍)を開花前2回,開花直前1回散布すると,対照に比べ防除価が高く,薬害は認められなかった(2001年安芸クイーン)。 以上の結果より,灰色かび病による枝梗の欠落は,有機JAS資材等の散布により防止でき,時期および方法についてさらに検討する必要がある。