研究会(研究発表会)
第55回(新潟)
講演要旨
タマナヤガ各ステージの発育有効積算温度とダイズ茎切断時期の予測
渋谷昌代(富山防除所)
タマナヤガの発育零点および有効積算温度については,大森・長谷川ら(1968)などが詳細な検討を行っている。また,奥・小林ら(1973)は牧草を用いた試験で3齢幼虫頃から茎を切断し始めると報告している。富山県および新潟県では2000年に本種幼虫の突発的大発生によって,一部のダイズほ場で壊滅的な被害を受けた。そこで,茎切断被害を及ぼす3齢幼虫出現時期を予測するため,幼虫各齢期等の有効積算温度を求めた。2002年、県内ほ場で採集した幼虫を飼育し,次世代以降の卵,幼虫,蛹および成虫を16L–8D条件下、15〜31°Cの温度範囲5段階で飼育し,発育零点および有効積算温度を算出したところ,それぞれ卵12.0°C,44.0日度,1齢13.3,29.4,2齢11.2,31.4,3齢11.5,30.1,4齢11.9,33.0,5齢10.3,50.0,6齢7.5,114.8,蛹10.0,202.0,産卵前期間6.1,84.7であった。これを用いて平均気温から予測した羽化時期を県下5ヶ所に設置してあるフェロモントラップの消長と比較したところほぼ一致し,4齢幼虫発生時期の予察も可能であると考えられた。