研究会(研究発表会)
第55回(新潟)
講演要旨
福井県におけるダイズ茎疫病の発生実態
岡本 博・本多範行・福田明美(福井農試)
本県の水田転換畑ダイズ栽培における茎疫病の発生面積は,2001年が42ha(発生面積率2.6%),2002年が175ha(同9.9%)と多発生が続いた。2001年は特に高志地区において,6月末の豪雨後,発芽間もないダイズ(品種:エンレイ,アヤコガネ)の幼苗期から発病が確認され,滞水あるいは冠水した水田転換畑で発芽不良や胚軸部腐敗による立枯症状苗が多発した。中でも福井市で採取した立枯症状苗から高頻度(82%)に茎疫病菌が分離された。また,鯖江市,武生市,朝日町,金津町でも同様に分離されたが,分離率に地域間差が認められた。2002年は特に坂井地区において,6月下旬頃から根部や茎の地際に病斑が見られ,台風による滞水状態が続いた後に上位葉で急性萎凋や枯死による欠株が目立った。中でも芦原町番田において被害が甚大(発病株率55.0%)であったが,坂井地区内には発病の少ない圃場も多かった。このような地域や圃場における発生程度の相違は,発病好適条件下で推移していた気温よりも,降水量や圃場における排水状態の違いに起因することが大きいと推察された。