研究会(研究発表会)
第55回(新潟)
講演要旨
富山県で発生しているオオムギ赤かび病及び灰色かび病の病原菌に対するチオファネートメチル剤の感受性
向畠博行・梅沢順子(富山農技セ農試)
本県ではオオムギ赤かび病を対象に,現在主にチオファネートメチル剤(以下TMとする)が使われているが,TMは1980年頃から連年,継続して使用されており,効力低下が懸念されることから,病原菌に対する感受性検定を行った。2002年5月に県下各地のオオムギ栽培地帯(品種ファイバースノウ)で発生した赤かび病罹病穂から,23か所で81菌株を分離し,また灰色かび病罹病穂からは,14か所から35菌株を分離した。PDAにTMを0,6.25,100,1600ppmとなるように各々混合してオートクレーブしたのち,ペトリ皿で平板の検定培地とし,次にPDAで前培養した菌そうを検定培地に移植し,20°C,3日間培養後,菌糸伸長の有無により感受性菌と耐性菌の判定を行った。この結果,赤かび病菌では供試81菌株全てがTM6.25ppmで生育せず,感受性菌であったので,現在のところTMの防除効果低下はないものと思われる。一方,灰色かび病に対しては1600ppmでも生育する高度耐性菌株率は85.7%(地点数では12/14)で,県下各地で耐性菌が出現していることが明らかとなった。