研究会(研究発表会)
第55回(新潟)
講演要旨
レンゲ萎縮ウイルス(MDV)の宿主範囲とアブラムシ媒介特性
笹本有美1・上家浩視1,2・佐野義孝1・小島 誠1(1新潟大農・2現:東頸城農改セ)
レンゲ萎縮ウイルス(MDV)は,マメ科植物の病原であり,マメアブラムシ(Aphis craccivora )により永続的に伝搬され,レンゲ,ソラマメ,エンドウ,ダイズなどに黄化萎縮を引き起こす。これまで知られているMDVの宿主の多くは越年生草本であり,ウイルスの発生生態,とりわけ越夏宿主について不明な点が多い。ウイルス発生圃場の周辺を調査した結果,カラスノエンドウ(Vicia sativa)でMDVが自然感染していることが確認され,ウイルスの越夏宿主として重要な役割を果たすと考えられた。またマメアブラムシを用いて,マメ科以外の植物に試験的にMDV接種した結果,ホウレンソウ(Spinacia oleracea L.),ハコベ(Stellalia media),シロイヌナズナ(Arabidopsis Thaliana)などにMDVが全身感染することが確認された。またこれまでにMDV伝播能がまだ確認されていないダイズアブラムシ(Aphis glicines)によるMDV伝播試験の結果を合わせて報告する。