研究会(研究発表会)
第55回(新潟)
講演要旨
ダイズにおけるハダニ類の発生と被害
成瀬博行(富山農技セ農試)
2001年〜02年の7月〜9月にかけて富山農試場内ダイズ圃場でハダニ類の発生消長を調査した。また同時に,葉の被害度を葉裏の被害痕の進展状況から0〜5の6段階に設定して記録した。設定した被害度の含水率を調査したところ,被害度の高い葉ほど低かった。発生したハダニの種類はカンザワハダニとみられた。両年とも8月中旬頃から発生が認められ,急激に増加して下旬にピークに達した後,9月上旬〜中旬に突然姿を消した。極めて集中性が高く,圃場内の場所による密度の差が著しかった。加害量の指標として発生消長のデータから延べの発生数(累積ハダニ・日数)を算出し,被害度との関係を吟味したところ,両者の間に2次曲線が近似し,回帰式に年による大きな違いはなかった。落葉や登熟に与える影響を検討したが,被害度の高い株ほど落葉が早まり,子実重や百粒重が減少するという傾向は認められなかった。以上の結果から,カンザワハダニによるダイズの被害は,収量などに直ちに影響を与えるほど深刻ではないと考えられる。