研究会(研究発表会)
第55回(新潟)
講演要旨
非選好性を利用したツマグロヨコバイ抵抗性集団選抜法
平江雅宏1・田村克徳2・福田善通3・大矢慎吾4(1北陸研究セ・2九州沖縄農研・3IRRI・4中国農業科学院)
北陸地域のツマグロヨコバイはイネの出穂期以降に高密度となり,茎葉および穂を吸汁加害して減収を引き起こす重要害虫である。本虫の防除手段の一つとして抵抗性品種の利用が考えられる。現在,抵抗性品種の育種がすすめられているが,交配後代において効率よく抵抗性イネ個体を選抜する手法が求められている。ここでは,非選好性を利用した抵抗性イネ個体の集団選抜法の精度を向上させるため,ツマグロヨコバイ幼虫の放飼密度および抵抗性の判定時期の検討を行った。その結果,抵抗性と感受性のイネ個体の割合が異なる場合,感受性イネ1個体当たり8.3〜18.8頭の1齢幼虫を放飼し,1〜3日後に着生虫数1〜4頭以下のイネ個体を抵抗性と判定することで90%以上の的中率で抵抗性イネ個体の選抜が可能であった。交配後代のイネ集団を用いて選抜を試みたところ,87.2%以上の的中率で抵抗性イネ個体が選抜された。