研究会(研究発表会)
第55回(新潟)
講演要旨
アカヒゲホソミドリカスミカメによる斑点米の発生 I 放飼試験
永瀬 淳(新潟農総研作物研)
アカヒゲホソミドリカスミカメによる斑点米被害の特徴を知るため,2000〜2002年に野外温度条件下のイネ(極早生品種:出穂期7月20日頃,登熟期間約35日)の穂に幼・成虫を放飼して吸汁加害させ,加害時期別(出穂後約5日間隔)の斑点米の発生量を調査した。成虫による出穂1〜5日後の加害は米粒の発達を阻害し,しいななど未熟粒を増加させたが,斑点米はほとんど発生させなかった。出穂10日後の加害は玄米先端部が着色する頂部斑点米を多く発生させるとともに,粒厚が不十分な屑米も発生させた。出穂10日後以降遅くなるに従って内・外穎の鉤合部に沿って着色する側部斑点米の比率が高まったが,出穂10〜17日後頃の加害による側部斑点米の発生量は年によって変動がみられた。幼虫の加害による斑点米の発生量は,成虫に比べて全般に少なかった。特に1・2齢幼虫は頂部斑点米をほとんど発生させなかった。成虫でみられた出穂10〜17日後頃の側部斑点米は少なく,登熟期遅くなってから側部斑点米の発生量が増加した。