研究会(研究発表会)
第55回(新潟)
講演要旨
チューリップ微斑モザイク病による花の病徴と品種との関係
多賀由美子・守川俊幸・森井 環(富山農技セ野菜花き試)
チューリップ微斑モザイク病による花の病徴は品種によって大きく異なるため,発病株抜き取りに際して現場に混乱を生じている。そこで,品種ごとの病徴特性を273品種について整理した。花弁におけるモザイク症状は表皮の色の不均衡によって生じ,柔組織には変化が認められなかった。供試品種の52%にあたる142品種で花に病徴が認められ,ほとんどはアントシアン系色素を有する赤色系品種であった。そのうち蕾の退色斑と開花後の増色条線がみられる品種(I A型)は74品種(27%),蕾の退色斑が認められず開花後に増色条線のみがみられる品種(II A型)は25品種(9%),蕾の退色斑のみが認められ,開花後の増色条線が認められない品種(I B型)は43品種(16%)であった。以上のように,病徴が確認された品種の70%が開花後に増色条線を生じるI AまたはII A型に属していたことから,これまで重視されてきた蕾の退色斑に加え,開花後の増色条斑は本病発病株抜き取りの重要な指標であると考えられた。