研究会(研究発表会)
第55回(新潟)
講演要旨
磁性ビーズを用いたイムノキャプチャーPCR法によるチューリップ微斑モザイクウイルスの検出
守川俊幸1・小林富成2・森井 環1・多賀由美子1・夏秋知英2(1富山農技セ野菜花き試・2宇都宮大農)
チューリップ微斑モザイクウイルス:TMMMVの外被タンパク質遺伝子の一部103bpを増幅するプライマーセットdgCPとRNA Polymerase遺伝子の一部136bpを増幅するプライマーセットPMを用い,One step PCRによるウイルス検出を試みた。チューリップ球根は多糖類が多く,ISOGENやTRIzolを用いたRNAの抽出は容易でなかったが,TMMMV抗体を結合させた磁性ビーズを用いて磨砕液からウイルスを捕捉し,これを蒸留水に懸濁してPCRすることにより,das-ELISA法の100倍以上の感度でTMMMVを検出することができた。この磁性ビーズを用いたイムノキャプチャーPCR法(IC-PCR)は,有機溶媒を用いたRNA抽出を必要とせず,さらに微量遠心チューブにウイルスを捕捉する既往のIC-PCRに比べて抗体の消費量は少なく,操作は簡便である。なお,本法により本ウイルス保毒Olpidium brassicaeを接種したササゲやチューリップの根からも本ウイルスを検出することができた。