研究会(研究発表会)

第55回(新潟)

講演要旨

ヒメホソミドリカスミカメの光周性

新谷喜紀・樋口博也・高橋明彦(北陸研究セ)

ヒメホソミドリカスミカメTrigonotylus tenuisは,斑点米を発生させるイネの重要害虫であるアカヒゲホソミドリカスミカメT. caelestialiumと近縁種である。本種は斑点米カメムシとして重要視されていないが,アカヒゲホソミドリカスミカメと発生場所や食性が類似していることから,斑点米カメムシである可能性が高い。そこで我々は,本種の生活史とその調節機構を明らかにすることを目的として,本種の光周性について調べた。アカヒゲホソミドリカスミカメは25°Cのもとで卵の休眠・非休眠の決定において明瞭な長日型の光周性を示すことが知られている。ところがヒメホソミドリカスミカメは25°Cでは,短日でごく一部の個体が休眠卵を産下したが,概ね光周期によらず非休眠卵を産下した。したがってヒメホソミドリカスミカメは,アカヒゲホソミドリカスミカメよりも秋遅くまで発生できる可能性がある。アカヒゲホソミドリカスミカメの光周性が温度依存的であることから考えて,ヒメホソミドリカスミカメでも異なる温度で光周性を示す可能性があり,今後の検討を要する。

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2009.1.8更新