研究会(研究発表会)
第55回(新潟)
講演要旨
新潟県におけるクリタマバチに対する導入天敵と土着天敵の現状
松澤清二郎1・中野 潔2(1新潟農総研園芸研・2中越防除所)
クリタマバチの導入天敵チュウゴクオナガコバチについて1994年に新潟県村松町で放飼を行い,その後県内各地で分布,密度推移,および発生時期を調査した。チュウゴクオナガコバチは県内全域で確認され,緩やかな増加傾向にあるが,2002年調査での100ゴール当たり羽化雌数は最高でも村松町牧の6.7頭と少なく,放飼8年後の現在においても顕著な密度増加はみられない。一方、チュウゴクオナガコバチの近縁種で競争関係にある土着天敵クリマモリオナガコバチは,チュウゴクオナガコバチが定着し始めた1998年頃から密度が減少し,現在では羽化が確認されない園もある。また,導入天敵放飼後のクリマモリオナガコバチの形態変化を確認するため,胸部と産卵管の長さを測定し比較した。クリマモリオナガコバチの産卵管長は,村松町ではチュウゴクオナガコバチ放飼前の1994年に比べ相対的に長い個体が増加した。佐渡地域では長い個体はみられず,村松町での放飼前と同程度の長さであった。