研究会(研究発表会)

第55回(新潟)

講演要旨

ユリ茎枯症状(通称:ポッキン症)の発生実態とその発生原因について

棚橋 恵1・宮島利功2・中野太佳司2,3・山口吉博11新潟農総研園芸研・2新潟県経営普及課・3現:中東蒲原農改)

新潟県のユリ栽培ほ場で,原因不明の茎枯症状(通称:ポッキン症)が発生し問題となっている。本症状は,半促成〜季咲き作型の“カサブランカ”等のOriental Hybrid系品種で開花直前の6月下旬〜8月上旬頃に発生した。症状は,止葉より上位の茎や花梗の褐変(著しい場合茎が陥没し折れる)で,その多くは上位葉のかすり状壊死条斑,モザイク,及び黄化(一部株ではえそ斑点)等を伴った。発生株率は,まれ〜30%(2001年,2002年)とほ場間差が見られた。茎枯株から細菌を分離し,接種再現を試みたが,本症状の再現には至らなかった。次いでDIBA法でウイルスを検出したところ,茎褐変株の85%(2001年),92%(2002年)がLSV,CMV,LMoV,LVXの2種以上のウイルスに重複感染し,特にLSV ,LMoV,LVXの感染率が高く,感染ウイルス種が多いほど症状が重篤化する傾向が見られた。無症状株は,ウイルス無感染株かLSV単独感染株であった。以上から茎枯症状発生にウイルスが関与する事が示唆された。今後は,接種再現試験と茎褐変に至る二次的な要因を解明する必要がある。

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2009.1.8更新