研究会(研究発表会)
第56回(富山)
講演要旨
いもち病がイネの収量、品質・食味に及ぼす影響及び各種苗箱施薬剤の効果
向畠博行1・梅沢順子1・山崎陽子2・守川俊幸3(1富山農技セ農試・2前:富山農技セ農試・3富山農技セ野菜花き試)
減農薬でより商品性の高い米生産に資するため,コシヒカリを用い以下の試験を行った。1つは,いもち病の発生程度と外観品質,食味関連形質及び食味官能との関係を調査した。出穂30日目のいもち病発病穂率と被害度との間に正相関があり,ほぼ5%減収値は被害度が5,発病穂率が10%であった。穂いもち多発生下でも1.90mm以上の精玄米では被害度による整粒比率の差は小さかった。しかし,1.80〜1.90mmの粒厚では,被害度が大きく,かつ粒厚が薄くなるほど,死米と青米が増加して外観品質が低下した。食味関連形質は,中〜多発生下では,食味計味度値や食味官能値の差異は小さかった。2つめに,9種の苗箱施薬剤の効果について,箱当たり50gを田植当日に施用して調査した。無防除区の7月下旬の上位3葉の葉いもち病斑数が株当たり12.7個,その後穂いもちの発病穂率が50.8%(被害度27.4)の多発生下で,葉及び穂いもちの防除価がともに85以上を示したのは5剤で,これらの無防除区に対する収量指数は163〜179であった。