研究会(研究発表会)
第56回(富山)
講演要旨
無防除水田におけるアカスジカスミカメの発生消長
永瀬 淳1・浅井善広2・西澤靖樹3(1佐渡農改セ・2新潟農総研佐渡農技セ・3佐渡防除所)
アカスジカスミカメによる斑点米被害の実態を知るため,2003年に金井町の殺虫剤無防除水田(極早生品種:1圃場、早生品種:1圃場、中生品種:1圃場)で捕虫網によるすくい取りを行い,本種の発生消長と被害粒の発生状況を調査した。水田内で認められた斑点米カメムシはアカスジカスミカメが主体であった。早生品種圃場では,出穂期後から本種の成虫侵入がみられ,出穂期10日後頃に発生ピークとなって,出穂期20日後頃には一旦終息した。その後,出穂期30日後以降,わずかに成虫の発生が認められた。中生品種圃場では,早生品種圃場と同様に,出穂期10日後頃に成虫の発生ピークとなったが,その後も少数の成虫発生が認められた。斑点米は早生品種圃場で多く発生し,中生品種圃場ではやや少なかった。3圃場とも,玄米先端部が着色する頂部斑点米と内・外穎の鉤合部に沿って着色する側部斑点米が大部分を占めた。この斑点米の症状は,割れ籾の発生との関連が深かった。斑点米の被害は,出穂期10日後を中心とした成虫の発生と,登熟中・後期の発生の両方によると考えられた。