研究会(研究発表会)

第56回(富山)

講演要旨

北陸地域における長期残効性苗箱処理剤を利用した後期害虫防除の可能性

平江雅宏・高橋明彦・樋口博也(北陸研究セ)

水稲の移植前に育苗箱に薬剤処理を行う方法は,水田の各種病害虫の省力的な防除法として有効であるが,北陸地域では主にイネミズゾウムシやイネドロオイムシ等の水田初期害虫に適用が限られている。フィプロニル粒剤は初期害虫だけでなく多種類の害虫に対して活性を持つため,北陸地域における本剤の後期害虫に対する防除の可能性について検討した。ポット試験の結果,セジロウンカに対する防除効果は薬剤処理時期の異なる区間では差が認められず,移植70日後でも防除効果が認められた。しかし,多肥区での防除効果は少肥区より劣り,残効期間が短くなった。圃場試験の結果,当日処理区および播種時処理区(ともに少肥区)ではセジロウンカの密度がやや低かったが,多肥区では無処理区とほぼ同じ密度となり差が認められなかった。多肥区では稲体が大きくなることで薬剤の濃度が低くなり残効期間が短くなると考えられ,今回の結果から少肥条件で水稲栽培を行うことでフィプロニル粒剤の残効期間を長く保ち,後期害虫密度を低く抑える可能性が示された。

第56回(富山)講演要旨タイトルに戻る

Copyright © 2007 The Association for Plant Protection of Hokuriku. All Rights Reserved.
2009.1.13更新