研究会(研究発表会)
第56回(富山)
講演要旨
カキ芯黒果に対する防除薬剤の検討
棚橋 恵1・本永尚彦1・本間昌彦1・山口吉博2(1新潟農総研園芸研・2下越防除所)
カキ果実果頂部の癒合不良部位に,Pestalotiopsis属菌が感染することにより発生する花柱痕内部の黒変症状(芯黒果)に対する薬剤の防除効果を検討した。菌叢生育抑制効果は,イミノクタジンアルベシル酸塩(IA),有機銅,フルアジナム,ポリカーバメート,ジフェノコナゾールが高く,クレソキシムメチル,フルオルイミド,TPNでやや認めら,ベンゾイミダゾール系のチオファネートメチル(TM)およびベノミル(B)は劣った。芯黒果は,満開10日後頃から自然発生が認められ,開花始期〜満開5日後に接種すると発生した。開花期前後にIA剤を3回散布した結果,芯黒果率は無散布区15%(2002),4.4%(2003)に対し,散布区は7.5%(2002),2.6%(2003)で,防除効果が認められた。芯黒果実分離32菌株のB剤に対するMIC値は,明瞭な2峰型を示し3,200ppm以上の菌群(62.5%)と3.12ppm以下の菌群(37.5%)に分かれた。以上の結果から,現行の開花期の散布薬剤であるTM剤を,IA剤等の他剤に変更する必要があると考えられた。