研究会(研究発表会)

第56回(富山)

講演要旨

長期常温保存したダイズ紫斑粒からの病原菌の分離

安達直人・八木敏江(石川農総研セ)

ダイズ紫斑病菌の耐性菌検定作業を行う際に,実験室内で1年以上放置されたダイズ紫斑粒を用いて予備的に分離を試みた結果,病原菌が全く分離できないという事例を見た。このことが手法的な問題に起因するのか,もしくは病原菌の生理的活性の低下によるものなのかを明らかにするために以下の試験を行った。同じロットの紫斑粒を,実験室内で保存させるもの、15°Cの種子保存庫で保存させるものに分け,1年以上経過させた後に病原菌の分離を試みた。次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素濃度1%)で瞬時表面殺菌し,滅菌蒸留水でよくすすいだ紫斑粒を,1%素寒天培地に置床し,菌糸とともに培地中に紫色色素を産生しているものを紫斑病菌とした。その結果,種子保存庫で保存させた種子では,分離率は96%以上であったが,実験室内で常温保存した紫斑粒からは全く分離されなかった。素寒天培地上での種子の発根率は同等で,約94%であったが,これらの種子を実際に播種した場合,初生葉展開までに生育異常を示す割合は,常温保存種子の方が高かった。

第56回(富山)講演要旨タイトルに戻る

Copyright © 2007 The Association for Plant Protection of Hokuriku. All Rights Reserved.
2009.1.13更新