研究会(研究発表会)
第57回(石川)
講演要旨
チューリップ条斑ウイルスのOlpidium brassicae sensu lato による伝搬と品種間の伝染源ポテンシャル差異
守川俊幸1・多賀由美子1・森井 環1・夏秋知英2(1富山農技セ野菜花き試,2宇都宮大農)
条斑病発病株からは新規ウイルスであるチューリップ条斑ウイルス(TuSV)が特異的に検出される。一方,先に本病の病原はO. brassicae sensu latoの非アブラナ科系によって媒介されることが明らかにされたが,当時の試験は病徴発現を指標にしているため,TuSVが本菌によって媒介されることは証明されていない。そこで,再度TuSV抗体を用いて本菌によるウイルスの伝搬の有無を調査した結果,本菌の存在下でTuSV感染チューリップから健全チューリップへ本ウイルスが伝染することが確認された。さらに,圃場の場合と同様にウイルス感染当年は殆どの株が無病徴で,これより収穫した新球根を植え付けた翌春(次年度)に条斑症状が発症した。また,発生圃場から収穫した本病抵抗性程度が異なる34品種を伝染源に,本菌による媒介試験を実施した結果,抵抗性弱品種を伝染源にした場合に比べて,抵抗性強品種を伝染源にした場合はTuSVの伝染頻度が明らかに低かった。このことは,抵抗性強品種が本ウイルスの伝染源にもなりにいくことを示す。