研究会(研究発表会)
第57回(石川)
講演要旨
薬剤散布時期別の穂いもちおよび種子保菌抑制効果
堀 武志・黒田智久・石川浩司(新潟農総研作物研)
イネいもち病の穂いもちおよび種子保菌抑制に有効な薬剤散布時期を検討した。2004年に自然発生条件の常発地ほ場において,フェリムゾン・フサライドフロアブル1,000倍液を用いて出穂期前後に1〜2回薬剤散布を行い,出穂28日後に穂いもち発病程度を調査した。また,収穫籾の胞子形成籾率をブロッター法で調査した。本試験では穂孕期から穂揃期の間に降雨は認められず,穂揃期以降,特に傾穂期以降に連続降雨があった。反復間の発病の振れが大きい条件下の試験となったが,穂いもち防除効果は穂孕期および出穂期散布で防除価50前後,穂揃期および傾穂期散布では防除価70前後で,穂揃期以降に感染が有効となったことが推察された。しかし,穂孕期+穂揃期散布および出穂期+穂揃い10日後散布は防除価85前後であったことから,穂揃期以降に感染が多い気象条件であっても,穂孕期〜出穂期の防除は必須と考えられた。また,穂いもち発病度と胞子形成籾率には正の相関(r2=0.762)が認められたことから,穂孕期〜出穂期散布を基本とし,気象条件に応じて穂揃期以降の追加散布を行うことで,穂いもちおよび種子保菌抑制に有効な防除が実施できると考えられた。