研究会(研究発表会)
第57回(石川)
講演要旨
コシヒカリBL混植圃場におけるイネいもち病菌病原性変異株の定着
平八重一之1・野口雅子2・高橋真実1・森脇丈治1・園田亮一3(1北陸研究セ・2農環研・3野茶研)
イネいもち病菌株OS99-G-7a(レース007)およびその病原性変異株52-2-1(047.2),01-1-1(307.0)は,2,500bpのDNAマーカーによって識別される。そこで,これらに03-1-1(037.1)を加えた4菌株それぞれを接種した感染苗をコシヒカリ新潟BL1号(Pia),2号(Pii),3号(Pita-2),4号(Piz)が1:2:5:2のBL混植区(20a)およびコシヒカリ単植区(10a)を設けた圃場全体に均等に配置し,葉いもちおよび穂いもちの発病と各菌株の定着について調査した。その結果,発病程度は,葉いもちおよび穂いもちともにBL混植区に比べてコシヒカリ区が高かった。また,葉いもち,穂いもちより,伝染源と同じレース菌株およびG-7a由来と考えられる107.0菌株が分離された。さらに,室内試験での各菌株の発病程度は,BL混植区(上と同じ混合比率)に比べてコシヒカリ区が高く,元株に比べて突然変異菌株が高い傾向が認められた。以上のことから,コシヒカリマルチラインにおいて,突然変異により病原性変異菌株が出現・定着する可能性が示唆された。