研究会(研究発表会)
第57回(石川)
講演要旨
アカヒゲホソミドリカスミカメ成虫の移動距離の推定
高橋明彦1・小林徹也2・樋口博也1・山村光司3(1北陸研究セ・2東北農研セ・3農環研)
アカヒゲホソミドリカスミカメの移動実態を明らかにすることを目的として,牧草地において標識個体の放飼試験を行い,成虫の移動距離の推定を試みた。北陸研究センター場内の牧草地,雑草地等において本種成虫を採取し,小林ら (2004) の方法に従って粉末蛍光色素 (SINLOIHI FX) による標識を施した後,イタリアンライグラス圃場 (約25×50m) 中央部に放飼した。放飼1〜5日後に放飼地点を中心とする南北各13,東西各5の小区画 (2×2m) 毎にすくい取りを行い,成虫を採集し,紫外光下で標識の有無を判別した。各調査区画において捕獲された標識個体のデータをもとに,Yamamura (2004) の拡散モデルによる解析を行った。平均移動距離の推定値は,雄1.71〜33.99,雌0.002〜19.96 m/日であり,放飼試験間でばらつきが大きかったが,全体として雄は雌よりも移動距離が大きい傾向が認められた。拡散方程式の推定パラメーターは,放飼試験間で変動が大きいことから,拡散モデルの適用の可否や推定結果の信頼性について,さらに検討が必要であると考えられた。