研究会(研究発表会)
第57回(石川)
講演要旨
最近新たに発生したキュウリうどんこ病菌,Oidium属Reticuloidum亜属の富山県における発生実態
山本 恵・佐藤幸生(富山県立大学短大部)
最近新たに発生したキュウリうどんこ病菌Oidium属Reticuloidium亜属菌(OR菌)は,一昨年の調査では富山県の34ヶ所中19ヶ所で発生を確認し,かなり広範に発生していることを初めて明らかにした(山本・佐藤,2004)。今回は本菌の発生状況を従来からのSphaerotheca cucurbitae(SC菌)との比較でより詳細に知るために,発病葉上の出来るだけ多くのコロニーについて菌種を検討した。2004年5月中旬から9月にかけて家庭菜園的に栽培されているキュウリを対象に,富山県内31カ所,34サンプルの95枚の発病葉について菌種を調査した。ORとSCの各菌はそれぞれ21カ所,19カ所で発生を認め,昨年と同様にSC菌の他にOR菌が広範囲に発生していることが明らかになった。また,95枚の発病葉上の356コロニーについて菌種を検討した結果,OR菌は179コロニーSC菌は177コロニーと,OR菌はSC菌に劣らず発生が行き渡っていることを示していた。なお,一昨年初めて圃場での発生を確認したOidium属Pseudoidium亜属菌は今回は認めず,本菌の発生は限定的と考えられた。今後はSC菌だけでなくOR菌も対象とした伝染源や生活史の解明あるいは抵抗性キュウリ品種の探索・育成など,防除対応に関わる検討が緊急の課題と考えられた。