研究会（研究発表会）

粘着板トラップによるモモのマルカイガラムシ類のふ化消長調査の可能性

長谷川和徳¹・中野　潔¹・松澤清二郎²・宇山正己³・村木一範⁴（¹新潟防除所・²新潟農総研園芸研・³刈羽農改セ・⁴南蒲原農改セ）

茶園のカイガラムシ類の発生予察用資材として粘着板トラップ（製品名：小型粘着板（20×10cm））が市販されているが，モモのマルカイガラムシ類のふ化消長把握及び発生予察への利用の可能性について検討した。2004年に新潟県内7地点において，雌成虫が寄生する枝付近に小型粘着板を固定し，捕獲された1齢幼虫数を3〜5日程度の間隔で調査するとともに，寄生枝採取・顕鏡観察による虫の発育状況と比較した。粘着板によるマルカイガラムシ類（ウメシロカイガラ・クワシロカイガラ）の第1世代幼虫捕獲消長は，設置ほ場のふ化開始時期及びふ化最盛期とほぼ一致した。粘着板への付着位置から，捕獲幼虫は空中を浮遊していたものと考えられた。第2世代以降は薬剤散布の影響により粘着板への捕獲がほとんど見られない地点が多く，消長は判然としなかった。しかし，聖籠町の殺虫剤無散布園では第2，第3世代のふ化盛期も確認できた。以上から，モモ園等でのふ化消長把握への利用は可能と思われた。ただし，日当たり等のトラップ設置位置が捕獲消長を左右すると考えられた。