研究会(研究発表会)

第57回(石川)

講演要旨

イネの抵抗性準同質遺伝子系統を利用したツマグロヨコバイ防除

平江雅宏1・田村克徳2・福田善通3・大矢慎吾41北陸研究セ・2九州沖縄農研セ・3国際農研セ・4上越市)

ツマグロヨコバイは国内のイネの主要害虫であり,北陸地方ではイネの出穂後に高密度になり茎葉や穂を吸汁して減収を引き起こす直接吸汁害が問題にされている。イネの中には本種に対する抵抗性を保有するものがあり,現在までに抵抗性遺伝子が6個同定されている。戻し交雑によって抵抗性を付与した準同質遺伝子系統について,ツマグロヨコバイ地方個体群の加害性および圃場におけるツマグロヨコバイ密度抑制効果について調べた。イネ幼苗上でツマグロヨコバイが2齢まで発育できる割合は,上越個体群ではすべての抵抗性系統で2%以下であるのに対し,筑後個体群では抵抗性遺伝子Grh1あるいは Grh2を保有する抵抗性系統で高かった。圃場におけるツマグロヨコバイ生息密度は,上越ではすべてのキヌヒカリ準同質遺伝子系統上で1頭(20株あたり)以下で推移した。抵抗性遺伝子Grh1Grh2に対する加害個体が存在する筑後では,Grh1Grh2Grh3の系統上でツマグロヨコバイが少ないながら認められるがその密度は低く,Grh2Grh4を両方持つ系統ではほとんど発生が認められなかった。

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2008.2.14更新