研究会(研究発表会)
第58回(福井)
講演要旨
フェロモンを利用したキャベツ害虫の防除
早川嘉孝(福井農試)
8月下旬定植作型のキャベツにおいて,ハスモンヨトウ大量捕殺用フェロモン剤,コナガ交信撹乱フェロモン剤と殺虫剤散布(7回,4回)を組み合わせた防除区と上記のフェロモン剤を設置せず,殺虫剤だけを同様に散布した区の防除効果を検討した。2005年は平年に比べ,ハスモンヨトウの発生が多く,40aの圃場で8月12日から11月10日までの90日間に1基のフェロモントラップ当たり,約一万頭のハスモンヨトウ雄成虫が捕獲された。収穫4日前の外葉1葉当たり,食害痕数調査ではフェロモン剤処理と7回防除区1.8,フェロモン剤と4回防除区1.3,フェロモン無設置の7回防除区4.8,4回防除区49.5であり,定植25日後の食害葉数調査でも同様の傾向が見られた。このことからフェロモン剤を併用した場合,防除回数を4回まで減らしても7回防除との差がないことが明らかになった。一方,コナガの発生は極めて少なく,キャベツ葉の被害や幼虫の発生は確認できなかったが,交信撹乱用フェロモンを設置した圃場は,交信撹乱作用の影響を受けて雄成虫の誘殺数は少なかった。