研究会(研究発表会)
第58回(福井)
講演要旨
県北部に見られる黒点米類似症状(くさび米)の発生要因
野口忠久1・桑澤久仁厚2(1長野農事試・2長野南信試)
平成11年頃から県北部地域において黒点米類似症状(以下,くさび米と呼称する)が米の品質低下要因として問題となっている。くさび米にはイネシンガレセンチュウ,イネアザミウマ及びカメムシ等既知の虫害要因が該当しないため,栽培面も含めて発生要因について検討した。その結果,くさび米発生には水稲品種間差が認められ,調査した品種の中ではあきたこまち,モチミノリ,キヌヒカリで多く,コシヒカリでは少ない傾向が認められた。一方,登熟期間中雨除けを設置すると発生が抑制されるなど降雨との関係が推測された。その他,圃場に発生する昆虫類及び籾に寄生するワムシ等を調査したがくさび米発生との因果関係ははっきりしなかった。以上のことから,くさび米発生は品種特性によるものであり,降雨等の栽培条件に助長されているのではないかと考えられた。