研究会(研究発表会)
第58回(福井)
講演要旨
イネ紋枯病の病勢進展と生育期の薬剤散布適期
向畠博行・関原順子(富山農技セ農試)
温暖化等気象変動のなか,本病発生が増加傾向であるが,防除時期が遅くなっていることもその一因と考えられる。そこで,コスト面から1回の薬剤散布による防除時期と効果について2004〜2005年に検討した。供試品種は「てんたかく」で,いずれも5月10日頃に移植した。フスマ・籾殻培地で培養した紋枯病菌を6月第6半旬に波板で仕切った試験区内に接種した。薬剤はバリダマイシン液剤を用い,散布時期は出穂前後の2週間を7日間隔で各1回散布区を設け,病斑高の推移,被害度及び収量性の関係を調査した。出穂期は両年で7月24日であった。病斑高は無散布では直線的に増加したが,早期の薬剤散布では顕著に抑制された。被害度による防除価は,両年で7月8日〜15日の散布で高く,出穂後の遅い散布ほど低下した。収量では出穂前の早い散布ほど精玄米の減収が抑えられた。しかし,登熟後期が不良天候の場合,より早期の散布では激しい病勢進展が懸念されることから,出穂前10〜14日頃の散布が適期と考えられた。