研究会(研究発表会)
第58回(福井)
講演要旨
アカヒゲホソミドリカスミカメの交尾の日周性
高橋明彦1・福山真希2・樋口博也1・足達太郎2(1北陸研究セ・2東京農大)
アカヒゲホソミドリカスミカメの交尾行動に関してはKakizaki & Sugie(1997)の報告があるが,交尾の日周性に関しては,不明な点が残されている。そこで,野外および実験室内において,雌による雄の誘引ならびに交尾行動の日周性について検討を行った。北陸研究センター内の雑草地に未交尾雌成虫および合成性フェロモンを誘引源とする水盤トラップを設置し,誘殺雄数を6時間おきに調査した。その結果,いずれのトラップにおいても夜間よりも日中に多く誘殺される傾向が認められたが,全体的に誘殺数が少なく,明確な結果は得られなかった。また,16L8D,25°C条件下において,3日齢の未交尾成虫,雌雄各30頭を同一ケージ内に放飼し,4時間後に雌成虫の交尾率を調査したところ,いずれの時間帯においても,交尾雌率は70%前後であり,時間帯による交尾率の差は認められなかった。以上の結果から,本種の交尾行動には明確な日周性はないものと考えられるが,雌のフェロモンの放出や雄の反応の日周性に関して,さらに検討が必要であると考えられる。