研究会(研究発表会)
第58回(福井)
講演要旨
2種類のレースを伝染源としたコシヒカリマルチラインにおける葉いもち・穂いもち盛期のレース構成
平八重一之・芦澤武人・高橋真実・森脇丈治(北陸研究セ)
イネいもち病菌株OS99-G-7a(レース007)およびその病原性変異株03-1-1(037.1)を伝染源とし,コシヒカリマルチライン圃場における葉いもち,穂いもち盛期のレース構成の変動を調査した。試験区にはコシヒカリ新潟BL1号(Pia),2号(Pii),3号(Pita-2),4号(Piz)の混植比率が1:2:5:2,2:4:2:2,1:2:2:5の混植区およびコシヒカリ単植区を設け,圃場全体(20a)にそれぞれの菌株で感染させた苗を均等に配置した。その結果,葉いもち盛期にはいずれの区においても037.1が90%,007が10%分布していたが,穂いもちでは各区から037.1の菌株のみが分離された。一方,別の1:2:5:2混植圃場においてパンチ接種による各10病斑を伝染源とした場合には,葉いもち,穂いもち盛期のいずれの時期にも037.1が70%,007が30%分布していた。以上から,マルチラインにおけるいもち病菌の定着には,病原力,伝染源量が影響することが示唆された。