研究会(研究発表会)
第58回(福井)
講演要旨
アカヒゲホソミドリカスミカメの穂に対する産卵
長澤淳彦・樋口博也(北陸研究セ)
アカヒゲホソミドリカスミカメは北陸における斑点米カメムシの主要種である。本種はイネ科植物等の葉鞘,葉舌の隙間に卵塊で産卵することが知られている。一方、穂に対する産卵はこれまで報告が無かったが,室内での産卵試験および野外からの採集によって穂に対しても産卵を行うことが明らかとなった。オヒシバ,メヒシバ,イヌビエおよびキンエノコロを用いて選択試験を行ったところ,オヒシバの穂に多くの産卵が認められた。また、野外から穂を採集して脱出する幼虫を調べた結果,オヒシバ,メヒシバ,アキメヒシバ,イヌビエおよびオオクサキビの穂に対する産卵が確認された。オヒシバへの産卵は,護穎と内穎の隙間に行われていた。また、メヒシバの穂への産卵は護穎と小花の隙間に行われ,1小穂あたり1〜3個の卵が産下されていた。オヒシバの穂への産卵が多かったのは,産卵に適した隙間が多かったことが要因の1つとして考えられる。