研究会(研究発表会)
第59回(新潟)
講演要旨
穂いもちおよび種子保菌抑制における薬剤散布の残効および治療効果
堀 武志・黒田智久・石川浩司(新潟農総研作物研)
穂いもちおよび種子保菌抑制を目的として,薬剤散布後の防除効果持続期間および治療効果について検討した。ワグネルポットに円形20粒法では種し育成したコシヒカリの穂に,カスガマイシン・フサライドゾル(KP),フェリムゾン・フサライドフロアブル(FP)およびトリシクラゾールゾル(T)の各1,000倍液を穂揃期に散布し,接種時まで野外で管理した。散布4時間後と散布1,2,4,7日後に1×105個/mlのいもち病菌を1穂当たり2ml噴霧接種し,散布34日後に発病籾率を調査した。また,水選した収穫籾の胞子形成籾率をブロッター法で調査した。穂いもち防除効果は,散布4時間後の接種では3剤とも防除価95〜98と高いものの,散布1日後以降はわずかに低下する傾向を示し,特に散布2日後の接種で防除価83〜89となり効果の低下が認められた。胞子形成籾率は概ね発病籾率と同様の推移を示し,薬剤散布後7日間は防除価80以上の穂いもち防除効果および種子保菌抑制効果が維持された。次に,穂揃期に上記の方法で噴霧接種した穂に対し,接種1,2日後に上記3剤を散布したところ,KP散布区のみでわずかに治療効果(防除価23,17)が認められた。