研究会(研究発表会)
第59回(新潟)
講演要旨
ケイ酸および窒素肥料施用を異にした水田で生育したイネの穂いもち抵抗性変化
塚本昇市1・古賀博則2・吉本玲子2(1石川農総研セ・2石川県立大)
窒素肥料およびケイ酸質資材の施用量によるイネの穂いもち抵抗性の変動を数式化するため,窒素およびケイ酸の施肥設計を変えた現地圃場の稲体を出穂時期別に採集後,いもち病菌を実験室内で接種し,発病の変動を調査した。さらに抵抗性検定法として有用な接種法を検討した。その結果,穂いもち抵抗性は,窒素施用量が多いほど弱まる傾向が認められ,穂の窒素含有率と穂いもちの発病との間には正の相関が認められた。ケイ酸施用は,おおよそ穂いもち抵抗性を強める傾向が認められたが,窒素を過剰に施用した試験区ではケイ酸による効果が判然としなかった。籾がらのケイ酸含有率と穂いもちの発病との間には弱い負の相関が認められた。抵抗性検定法として,噴霧接種法とCMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)による接種法を検討した結果,CMCによる接種法のほうが安定した発病が得られ,稲体の穂いもち抵抗性を調査する接種法として有用であることが示唆された。