研究会(研究発表会)
第59回(新潟)
講演要旨
アカヒゲホソミドリカスミカメの合成性フェロモンによる交信撹乱効果
菅野 亘1・吉島利則1・中川俊昭1・福本毅彦2・望月文昭2(1富山農技セ農試・2信越化学)
アカヒゲホソミドリカスミカメの合成性フェロモンを含有したポリエチレンチューブを野外に設置して,交信撹乱効果の検討を行った。牧草地において,越冬成虫の発生時期から継続的に合成性フェロモン処理を行った交信撹乱区では,雄の雌への定位(誘引)阻害が起こることが確認された。しかし,交尾阻害および個体密度抑制の効果は十分には認められなかった。次に,水田でフェロモン処理を行い,出穂期に水田に侵入する第2世代成虫,次世代成幼虫の密度および斑点米発生率を調査した。交信撹乱区,対照区とも,すくい取り成幼虫数に違いは認められなかった。また,斑点米発生率においても,両区に違いは認められなかった。以上の結果から,本試験においては,合成性フェロモンを用いた交信撹乱による個体密度および斑点米発生の抑制効果は十分でないと考えられた。